アヤサキ=フリート2−3−1




「ときめきに、ひびきのですか」
 GP−02のモニタに映し出された機体をみて、綾崎若菜は呟いた。
「若菜さんは、あのときめきと同じPCE軍にいたんでしょ?」
「わぁ、すごい!。ぜひ、お話を聞かせてくださーい!」
 MH「破烈の人形」の衛と四葉が、嬉々として訊ねる。「私も、ぜひ聞きたいですわ」と、ガッデスの鞠絵も話にはいってくる。
 彼女たち「シスプリ」メンバーの世代にとっては、PCE戦争など御伽噺のようなものだろう。少し複雑なものを感じながら、若菜は答えた。
「私は、PCEの突撃機動部隊でしたから。『ときめき』のような独立部隊と戦線を共にしたことはありませんよ」
 イーグルファイターの楓、「そんなことよりも」と、若菜に声を掛ける。
「『ときめき』への呼びかけは、成功するでしょうか?」
 接触に先立ち、若菜は「ときめき」に宛てて協力要請を行った。その返答を、今待っているところなのだ。
「彼女たちにしても、この場でひびきのを振り切らねばならないはずです。振り切った後の補給を考える必要もあります。……受け入れられることを祈りましょう」
 答えつつ、若菜はどうしても不安を拭えない。
 交渉の間に入った元ときめきのメンバー・鏡魅羅の、挑発的な勧告内容が原因だった。

(鏡中佐、あのような調子の通信を送るなんて……我が軍の利益を考えてのこととは、とても思えません)

 ひとりごちる若菜。当の鏡魅羅は、ガーベラ・テトラのコクピットで澄ました顔だ。
 程なくして、ときめきから返答が届いた。

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 は、はじめまして。ときめきの虹野沙希です。

 御丁寧な申し出、ありがとうございました。ときめきのみんなを代表して、お返事させていただきます。

 私達、ときめきは、反逆の疑いをかけられ、PS軍に追われる立場にありますが、実際には反逆の意思はありません。
 だけど、ここで、あなた方アヤサキフリートの申し出を受け入れてしまうと本当の反逆者になってしまいます。私達は、自分達の育ったコロニーや、PS軍を敵に回したくはありません。今は、疑いをかけられていても、いつか、その疑いを晴らせる日が来ると信じて戦います。

 だから、せっかくの申し出ですが、お断りさせていただきます。あなた方アヤサキフリートが、PS軍に敵対行動を取るのであれば、私達は、ひびきのとともに、あなた方との戦闘を選択します。

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 交渉は、決裂のようだ。
「残念です。私が至らぬばかりにみなさんに負担をかける結果となってしまいました。申し訳ありません」
「若菜は、悪くない」
「そうです!分からず屋のときめきの皆さんが悪いんです!」
 舞と佐祐理が、若菜を励ます。
「こうなってしまった以上、戦いは避けられませんね」
 楓の声に、若菜は強く頷く。
 その表情は、すでに戦士のそれに変わっていた。



第二話「蒼ざめた瞳 見つめる炎」(3)


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