デザイア2−2−1(反応装置編)


 ジオンフロント内。研究セクション。
 デザイアの要と言うべき「反応装置」は、そこに存在する
 ほぼ24時間体制で研究が続けられており、莫大な予算と人員が投入されている。
 だが。
 それにも関わらず、その「反応装置」が何を目的とした物なのかは、いっさい公表されていなかった。
「どーせ、軍事用でしょ?」
 素っ気無い口調で、留美が呟く。
「みゅー?」
「やっぱり、そうなのかなぁ?」
 繭とるりか、顔を見合わせあって首をかしげる。
 この三人、反応装置を見学させてもらいに足を運んだのだが、あっさりと門前払いを食ってしまったのだった。
「あーあ、でも、見てみたかったなあ」
「どうせ、見たって何もわかんないわよ。忘れなさいって」
 名残おしそうなるりかを、留美がたしなめる。だが、彼女もなんとなく口惜しそうな表情だ。
 繭はといえば、ほのかに「おちかづきのしるしに」ともらったポニーのぬいぐるみを手に、御満悦である。
「なんだ、貴様ら」
 背後から、声がかかった。
「研究セクションに、なんのようなのだ」
 伊集院メイが、いつもの如くボディーガードを従えて立っている。
「私たち、反応装置を見学に来たんだけど……なんか文句あるの?」
 るりか、昨日「サル」呼ばわりされたことを思い出し、メイを睨みつける。
「見学したところで、貴様ら庶民があの装置のなんたるかを理解できるはずもなかろう」
 鼻で笑いながら、メイ。
「何よ、じゃああなたにはわかるっていうの!?」
「少なくとも、キサマらよりもな。あれの正式名称は『クロスゲートパラダイムシステム』というのだ」
 るりか、無言になる。
「どうしたのだ?」
「あの、もっかい言ってくれない?」
「だから……クロスゲートパラダイムシステム、だ」
「メロスデートパラダイスシテスム?」
 なんだか、メロスさんがとても幸せそうな名前だな、と留美は思う。
「ク、ロ、ス、ゲート、パ、ラ、ダ、イ、ム、シ、ス、テ、ム!!だっ!!!」
「パンチDEデートアラいらっしゃーいシステム?」
「貴様……わざとやっておるな?」
 メイ、じろりとるりかの顔を睨む。
「私、漢字が苦手で……」
「今の単語のどこに漢字があったのだ!?」
 物凄い漫才だった。意外とこのふたり、息があってるのかも知れない。
「貴様、確か闘将ダイモスの山本るりかだったな?」
 ぜいぜいと肩で息をしながら、メイ。
「我がひびきのの寿美幸と張り合えるボケッぷりなのだ……。天然は、メイも嫌いではないのだ」
「うん、ウナギとかおいしいよね」
 とことん天然のるりかであった。
「……まぁ、よい。それではメイは帰るのだ」
 ボディーガードを付き従えたまま、メイは去っていった。
「結局、なんだったんだろ?」
「さあ……」
 首をかしげる三人。
 この場に晶や由梨香がいれば、まだ話は進展したかも知れない。
 だが、あくまでパッパラパーなるりかと留美、そして繭では、せっかくの反応装置の手がかりも、なんの意味もなく彼女たちの耳を素通りしていった。


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