<ひびきの+ときめきエピローグ>




 光はしばらく茫然自失の態でR−3を見送っていたが、正気に戻ると、
「待って、待ってよ!」
 と、ヴィクトリーで追いすがろうとする。
 それを押さえつけたのは、琴子のグレンダイザーだった。
「落ち着きなさい!!光!!」
 パワーでは、圧倒的にグレンダイザーが上だ。がっちりと押え込まれたヴィクトリーは、なおもじたばたと手足を動かす。
「放してよ、琴子ぉ!!。八重さんを追いかけなきゃ!!」
「彼女は自分の意志で出ていったのよ!!追いかける筋じゃないわ!」
「なにいってんの!?。どうしてそんなに落ち着いていられるの!?。馬鹿ぁっ!」
「……!」
 グレンダイザーの平手打ちが、ヴィクトリーの頬を打った。
「馬鹿っていうほうが馬鹿でしょ!?あなたの口癖じゃない!!」
 激しい口調とは裏腹に、琴子の顔も、雨が降り出す前の空のような表情だった。
 それを見た光、「あ…」と小さく喘ぎ、操縦レバーから手を放す。
「なあ、光……」
 損傷の激しいゴッドリラー、姿勢制御もやっとの様子で、ヴィクトリーに機体を寄せてくる。
「お前の気持ちは、わかる」
 今まで聞いたこともないほど、真剣なほむらの声だった。
「だけど……今の私たちじゃ、駄目だ」
「赤井さん……」
「もっと、もっと強くならなきゃ、駄目なんだ……」


 そのひびきのの様子を遠目で見つめながら、望は言った。
「どうする?今度こそ逃げ出すか?。今なら連中、追ってこなそうだけど」
 沙希は、曖昧に頷いた。
 Vガンダム、グレンダイザー、ゴッドリラー、そしてトロイホースは、呆けたように静止したままだ。
「八重さんにあんなこといわれたんじゃ、無理ないよね……」
 お尋ね者である自分達は、そこにつけこんで早く逃げ出すべきだった。
 だが……。
 迷っている沙希達への救いの手は、思いも寄らぬ方向から差し伸べられた。

「やあ、諸君!!!」

 聞き覚えのある、自信に満ち溢れたカン高い声が、割れんばかりに鳴り響いた。
 豪奢極まりない装飾を施された巨大戦艦が一隻、ヘビーメタルの大軍を従えて近づいてくる。
「あ、あれは……」
「またややこしいヤツが出てきたなぁ」
 うげっと、好雄は溜息をついた。

「ときめきもひびきのも、ただちに戦闘を停止したまえ!。その勝負、この伊集院レイが預かる!!」
「もうちょっと早く来いよな…」
「何か言ったかね?」
 ボスボロットの通信モニタに、レイの顔が割り込んだ。
「久しぶりだねえ、早乙女くん。あいかわらず無駄な努力をしているようだね」
「やかましい!!!」
「い、伊集院くん、どうして、ここに!?」
「やあ、沙希くん。この僕が来たからには、何も心配はいらないよ」
「え?」
「すでにソニーに話はつけてある。君たちの身柄は、ひびきのと共に我が伊集院家が預かる」
「じゃ、じゃあ」
「私たち、もうお尋ね者じゃないんだ!!!」
 ばんざーい!!!と優美とみのりは喜びを爆発させる。
「でも、どうしてここに?」
「もともと、そういう手はずだったのよ」
 その声は、紐緒結奈だった。レイの戦艦に同乗しているらしい。
「試すような真似をして、悪かったわね。ときめきとひびきのを同時にソニーから奪うには、こうするのがもっとも効率的だったのよ」
「それ、どういう意味だ?」
 だが、結奈は口を閉ざしてしまった。
 望の方も疲れきっていて、さらに追求する気にはなれない。
「ま、いいんじゃないの?。とりあえず助かったんだから」
「彩子はいいよな、単純で」
「の、望に単純って言われると、なんかグサッとくるわねー」
 みんなは、どっと笑った。
 この雰囲気がある限り、きっと自分達はどんなことがあっても乗り越えていける。
 沙希は、そう信じるのだった。


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