「体育会系チーム」VS「思いやりの翼」1
すぅ……はぁ……。
Hi-νガンダムのコクピットで、真奈美は今日何度めかの深呼吸をした。
ありていにいって、彼女は緊張していた。今でも、こうしてこの場所にいるのが、自分でも信じられないくらいだ。
長森瑞佳から大会に誘われたとき、彼女は戸惑った。νガンダムを手に入れたとはいえ、真奈美はまだまだ自分の力に自信を持ってはいなかった。
「わたし、杉原さんとだったら良い成績出せるとおもうんだもん」
そう言って笑った瑞佳の笑顔を曇らせたくなかった。それもある。
だが、自分でも驚くほど、自然と承諾の言葉を口にしていた。
(……きっと昔のわたしには……ううん、少し前のわたしでもいえなかったんじゃないかと思う。こんなことが言えたのはきっとあの人に……)
真奈美、もう一度深呼吸をしてスクリーンを、「あの人」のいる客席を見つめる。
みんなと一緒に、応援にきてくれたんだっ。
……みんなと。
……みんなと?。
真奈美、慌ててHi−νのメインモニタを最大望遠にした。
そこには、センチ=ベルメンバーに囲まれ、デレデレと鼻の下を伸ばすセンチ=ベル艦長の姿があった。
真奈美は、精神を研ぎ澄ませた。ニュータイプとしての能力が解放され、彼らの会話を感じ取る。
「はい、あーんして」
「よ、よしてくれよ妙子。みんな見てるよ」
「だーめっ。どうせ私が地球に降りている間、ロクなもの食べてなかったんでしょ?駄目だぞっ?」
「なーによう!それじゃあ、私たちはどーなんのぉっ!?」
「明日香ちゃんは、お腹丈夫だから大丈夫よ。はい、あーん……」
「……あの……ほのかも、お弁当作ってきたんだけど」
「ウチも、久々にお好み焼き焼いてみたんや!艦長くん、いっしょに食わへん?」
「あ、あたしも……ガラじゃないけど、とんこつラーメンを……」
「……千恵、それ、すっごく無理がある……」
「フン、横浜にはなーんにもないから、そんなこと言ってんだろ?」
「シューマイランチがあるわよっ!」
「み、みんな、ケンカはやめてくれ。順番に、順番に……」
「……」
「杉原さん、どうしたの?」
突然声をかけられ、真奈美は飛び上がらんばかりに驚いた。
何時の間にか、長森瑞佳から通信が入っていた。
「ずっとコールしてたのに、杉原さん気がつかないんだもん」
「ご、ごめんなさい」
「ところで、今、ファンネルが動いたような気がしたけど?。なんだか、客席に飛んでいきそうな雰囲気だったよ」
「そ、そうですか?気のせいですよ」
真奈美、どぎまぎしながら答える。
「だったらいいけど……。さ、試合開始だよっ」
試合場には、すでにゴッドガンダムとディアブロが姿を見せていた。
「……長森さん」
「うん」
「この試合、ぜっっっっっっっったいに勝ちましょう!!」
「う、うん……」
突然やる気に燃える真奈美に、瑞佳は戸惑いながらも頷いた。
どのみち、生半可な気持ちで勝てる相手ではないのだ。
Aブロック1回戦第二試合
「体育会系チーム」 VS 「思いやりの翼」