試合前。
「詩子、何か招待状のようですよ」
「あ、ありがと茜」
「………ていうか、お前はいつまでいる気だ? もうマリアやティセは帰ったんだぞ」
「まだ試合開始前ですし。せっかくのご招待ですし」
「そーそー、エルさん。みんなで行ったほーがたのしいって。向こうも3人だしさ」
「そーか?」
…てな感じで、Dragoonの2人、エルと詩子は、なぜかその場にいた茜とともに、klarの2人+1が催すお茶会に招待されたのだった。
「あははーっ、いらっしゃいませーっ、l'omeletteへようこそーっ」
ぽかっ
やってきた3人を出迎えた佐祐理の台詞に、即座に舞のツッコミチョップが入る。
「…違う」
「ふえ〜、やっぱり、Piaキャロットの方がよかったですか〜?」
「そ、それも違うわよ。と、とにかく、ようこそ、エルさん、詩子さん、それに茜さん」
苦笑しつつも、華澄が3人を招き入れ、試合前のささやかなお茶会が始まった。
その模様はと言うと…
「あ、これ、おみやげです」
「あら、そんなに気を遣わなくてもいいのに」
「いえ。私は員数外ですから、せめてこれくらいはした方がいいと、詩子が」
「そう、それじゃありがたく戴くわね。何かしら?」
「ワッフルです。美味しいです」
「あはは、それじゃいただきますね〜。………」
「こ、これ……」
「美味しいです」
茜が持ち込んだ蜂蜜練乳ワッフルの威力に、華澄と佐祐理が笑みを凍らせたり…
「……もみみい」
「マジ? マジで美味しいの?」
「……美味しい」
無表情のままそれをおかわりする舞に、詩子が戦慄を受けたり…
「うわー、これホントに佐祐理さんが作ったの?」
「これなら今すぐにでも店が開けるんじゃないか? アリサさんにも負けてないかもな」
「あははー、そんな、誉めすぎですよーっ」
佐祐理の用意したザッハトルテに、詩子が感動したり、エルが懐かしいアリサさんの味を思い出したり…
そんなこんなで、しばらくは穏やかに進んでいた。
「あ、舞、牛丼も用意してますよー」
「…佐祐理の牛丼、かなり嫌いじゃない」
…これが登場するまでは。
「おいおい、お茶会に牛丼か? 試合前にそれはちょっとキツイだろ」
「しかも、2コも?」
エルと詩子は、どんぶりを片手に1つずつ計2個手に取った舞と佐祐理に、半ば驚き、半ば呆れた視線を向ける。
「……佐祐理、あれを」
「はい」
が、2人はその視線も気にせずに、両手にどんぶりを持ったまますっくと立ち上がると、
『牛丼一筋300年〜♪ 早いの美味いの安いの〜♪』
と、声をそろえて歌い、踊り出す。
あくまでも無表情の舞と、相変わらず微笑みを絶やさない佐祐理が、どんぶりを手に持ったまま奇妙な踊りを踊る様は、かなりシュールで、怖い。
しかも、その踊りの最後には、どんぶりの中から現れた見えない何かが、2人にツッコミを入れていたりするのだ。
これははっきり言って、かなり、怖い。
事前に、こういうことをすると聞いていた華澄でさえ、思わず手にしたフォークの動きを止めてしまうくらいなのだ。
ましてや、予備知識なしにこれを目撃したエルなどは…
「×□●◇▽◎☆!!?」
頬張っていたケーキをのどに詰まらせ、そのまま脱力して気を失ったのだった。
なお、詩子と茜は…
「あはははははははははははは」
「お茶が美味しいです」
爆笑してたり、まるで気にしてなかったりと、あまり変わった様子は見られない。
なんというか、エルだけが災難にあったお茶会であったとさ。
Bブロック二回戦
「klar」 VS 「Dragoon」
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第1ターン(BGM:彼女たちの見解)
●詩子(29)
精神「加速」使用。行動順を最初に、移動力+3。
牽制/ラグナロック>ズワウス
●舞(36)
特殊能力「分身」発動。回避+10%。
回避
●華澄(32)
精神「冷静」使用。全ての武器がS武器になる。
牽制/バスターランチャー>ドラゴンガンダム
●エル(25)
スキル「怪力」使用。攻撃+10。
精神「集中」使用。命中・回避に15%のボーナス。
攻撃/宝華教典・十絶陣(S+10)>ガイラム/70+15=85%
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「エルさんー、だいじょうぶー?」
「……うー、気持ちわりぃ。夢に見そうだ」
「面白そうな夢だね」
「………オマエって、ときどき凄いな」
「なにが?」
お茶会を思い出して少し話していたエルと詩子だが、相手となる2機の姿が見えたところで会話をやめる。
そして、試合開始の合図とともに、“音速裁断師”詩子のツィノーバ・ヴァルキュリエが、瞬時に最高速まで加速して、華澄のガイラムに突っ込んでいく。
通信とともに。いや、通信さえも追い抜くような勢いで。
「さー、華澄さん、一騎打ち、行くよーっ!!」
「その話は、さっきお断りしたはず…っ」
試合前のお茶会のさなか、詩子は華澄に「一騎打ちして欲しい」と持ちかけていた。
が、タッグ戦と言うこともあるので、華澄からは断られている。
今も華澄からの返事に変化はない。
しかし、それを無視するように詩子は真っ直ぐに突っ込んでいった。体当たりでもするかのように。
一瞬戸惑いを見せる華澄。
けれど…
「なーんてね。断られたのにしつこく迫る詩子さんじゃないよっ!」
激突の寸前、ジャンプしたツィノーバ・ヴァルキュリエは、ガイラムを踏み台にして上空へと跳んだ。
「そんな…、私を踏み台にした?!」
「狙いは、こっちー!!」
詩子の狙いは最初から、ガイラムの上空にいる舞のズワウスだったのだ。
真っ直ぐズワウスに向かって跳ぶツィノーバ・ヴァルキュリエ。
その右手のレーヴァティンを構え、左手のギャッラルホルンに火を入れて。
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ズワウス、特殊能力「分身」発動
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しかし、詩子の目の前で、ズワウスの姿が複数に別れ、そのまま上昇していく。
その結果、ツィノーバ・ヴァルキュリエは、ズワウスの残した幻影の1つの中を突き抜ける。
「あ、あれ?」
ずがん
そしてその直後、突き抜けたままの勢いで上昇したツィノーバ・ヴァルキュリエは、運良く(?)ズワウスの本体にマトモに激突した。
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ツィノーバ・ヴァルキュリエの牽制成功(?)
ズワウス移動停止
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何か(…というか牛丼音頭)を踊ろうとしていたのか、妙な格好のままマトモに正面衝突してしまったズワウスは、推力を失って落下するツィノーバ・ヴァルキュリエと絡み合ったまま落下する。
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落下によるダメージ(基本値500,装甲無視で計算)
ズワウス
ダメージ500
5200/5700
ツィノーバ・ヴァルキュリエ
ダメージ500
×RB0.8
=400
5200/5600
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もつれ合いながらもズワウスをクッションにしたツィノーバ・ヴァルキュリエは、ふらふら〜と、その場を離れる。
「エルさん〜、かろ〜じて作戦どーりだよ〜」
「ああ。いくよ、フェイロンフラッグ!」
ズワウスがガイラムの側に落下したのを確認したエルは、その2機を取り囲むように2本のフラッグを投げる。
「さぁ、まとめて喰らいな!」
ズワウスが体勢を立て直す前に、炎を浴びせようとするドラゴンガンダムだが、
「そうはさせないわ」
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ガイラムの牽制成功
このターンのドラゴンガンダムの命中率−20%
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ガイラムが放ったバスターランチャーの光の筋に目が眩み、攻撃のタイミングを失ってしまう。
その間に、再びズワウスは宙に舞った。
「…ちっ、なら、アンタだけでも十分だ。くらいな! 宝華教典・十絶陣!!」
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ガイラム
ダメージ2658
+250
=2908
3092/6000
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ガイラムの周りに展開済みのフラッグが、ドラゴンガンダムから放たれた炎を巻き上げる。
「くぅっ…さすがに効くわね…」
しかし、それだけで落ちるほど、ガイラムも甘くはない。
「まだ、これからよ」
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第2ターン(BGM:燃え上がれ闘志)
●舞(36)
精神「ひらめき」使用。回避+100%。
牽制/ハイパーオーラ斬り>ドラゴンガンダム
●華澄(32)
精神「幸運」使用。RB効果2倍。
攻撃/パワーランチャー(S+0)>ドラゴンガンダム/93−15=78%
●詩子(29)
精神「ひらめき」使用。回避+100%。
攻撃/レーヴァティン(P2+8)>ガイラム/79%
●エル(25)
精神「熱血」使用。ダメージ1.3倍。
攻撃/ドラゴンクロー(P2+6)>ガイラム/60+15=75%
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陣から脱出したズワウスは、そのまま空中から強襲をかける。
重力の力も加えた高速で、ズワウスの剣がドラゴンガンダムを襲う。
「くっ……って、え?」
だが、そのズワウスはドラゴンガンダムを素通りした。
「幻影? 分身か?」
「……こっち」
その直後、地面ぎりぎりから伸び上がってくるように斬り上げてきたズワウスの本体とその振るう剣が、ドラゴンガンダムをかすめる。
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ズワウスの牽制成功
次ターンのドラゴンガンダムの回避率−20%
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それで大きく体勢を崩したドラゴンガンダムの、その攻撃の起点となる竜の顎を狙って、光が走る。
「まずは腕1本、もらうわ!」
ガイラムの、華澄の放ったパワーランチャーの光が、ドラゴンガンダムの右腕の肘のあたりを貫く。
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ドラゴンガンダム
ダメージ2380
×P1.1×RB(1+20%×幸運2)+320
=3985
1815/5800
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伸縮自在のドラゴンガンダムの腕は、それ故に案外もろい。
ガイラムの放った粒子の流れは、脆弱な腕を、関節ごともぎ取った。
「うあぁぁっっ……」
モビルトレースシステムによって機体と感覚がつながっているエルは、まさに腕をもぎ取られる痛みに苦悶の叫びをあげる。
片腕を失い、苦痛に顔をゆがめるエル。
ただの一撃でドラゴンガンダムはその機能のかなりの部分を失っていた。
「エルさんっ! このっ、エルさんの仇ぃ!!」
パワーランチャーを放った直後のガイラムに向けて、引き返してきたツィノーバ・ヴァルキュリエが、レーヴァティン…手にしたヒートソードを振るう。
詩子の狙いは、エルを仕留めたパワーランチャー、そしてそれを装備しているガイラムの右腕。ドラゴンガンダムが片腕をおとされたように、ガイラムの片腕もおとしてやろうと、右腕の付け根を狙って剣が軌跡を描く。
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ガイラム
ダメージ1533
×RB1.2+290
=2129
963/6000
>>>>>>>
「まだっ」
「ああん、落ちないぃ〜」
しかし、強固なガイラムの腕を切り落とすことはできなかった。
けれど、彼女に攻撃をさせる機会だけは、与えることができたようだ。
「詩子、まだアタシは落ちてないよ…。…っ、そうさ、まだ、だっ!
ドラゴンクローは、もう1本あるんだっ!!」
エルは、苦悶の表情を浮かべながらも、ドラゴンガンダムに残された左腕のドラゴンクローを放つ。ツィノーバ・ヴァルキュリエが傷つけたガイラムの右腕に向けて。
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ガイラム
ダメージ1668
×RB1.2×熱血1.3+250
=2851
0/6000
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ガイラムの右肩に食らいついた竜の頭は、そのままガイラムを揺さぶり、持ち上げ、
「お、ち、ろぉぉぉぉぉ!!」
「きゃあぁぁっっっ」
竜の飛翔に巻き込まれたガイラムは、大きく弧を描いて地面に叩きつけられる。
傷ついていた右腕は、この一撃で破片をばらまいて砕け散り、そしてガイラム本体も、これで動きを止めた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
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第3ターン(BGM:少女の檻)
●舞(36)
攻撃/ハイパーオーラ斬り(P1+7)
>ドラゴンガンダム/87−15=72%
●詩子(29)
スキル「マイペース」使用。精神コマンド再使用可
精神「ひらめき」使用。回避+100%
攻撃/ラグナロック(P1+8)
>ズワウス/83−10=73%
●エル(25)
攻撃/ドラゴンファイヤー(4)
>ズワウス/64−20−低下分20−+15−10=29%
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ガイラムをたたいて、荒い息を整えているドラゴンガンダムだが、その瞬間、上空から襲われる。
先ほどドラゴンガンダムをかすめて上空に昇ったのは、この瞬間のための布石。
満月を背にしたズワウスが、右からの袈裟斬りで、ドラゴンガンダムを寸断する。
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ドラゴンガンダム
ダメージ3451
×RB1.2+360
=4501
0/5800
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まさに一瞬の出来事。
次の瞬間、着地したズワウスの背に、盛大な花火が上がる。
「………遅かった」
舞のそのつぶやきは、ガイラムが落ちる前に倒せなかったことへの悔恨だろうか。
「どーでもいいけど、まだ昼間…。満月って何?」
あまりに鮮やかに決まったためか、相棒をおとされた詩子の口からは、こんな言葉しか出てこなかった。
一瞬、会場を沈黙が支配する。
でも、それは一瞬のこと。
四散したドラゴンガンダムが巻き上げた爆炎に紛れて近づいた詩子が、脇からズワウスに襲いかかる。
レーヴァティンとギャッラルホルン、両手の武器を合わせた必殺技、ラグナロックで。
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ズワウス
ダメージ2680
×P1.1+290
=3238
1962/5700
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「とりあえず、エルさんの仇ってことで」
ズワウスに与えたダメージ、それが、規定の試合時間が終了する合図になった。
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Bブロック二回戦
勝利チーム:「Dragoon」
ツィノーバ・ヴァルキュリエ 5200/5600(残 91%)
ドラゴンガンダム 0/5800(残 0%)
ガイラム 0/6000(残 0%)
ズワウス 1962/5700(残 34%)
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