ときめき2−3−1



 混乱するときめきの面々を、更に混乱させる通信が入った。
「フフッ……。久しぶりね、みんな」
 アヤサキ=フリート方の赤いMSから、その声は届いている。
 鏡魅羅の声だった。
「こんな形で再び会うとは、思ってもいなかったわ。これも、運命の為せる業というわけかしら?」
 呆然となったまま言葉もないときめきの面々に、魅羅は痛烈な言葉を浴びせ掛けた。
「それにしても……あなたたち、どうしようもなく愚かね」
「……なん……だと」
 望が、絞り出すような声でわずかに応じる。
「こうなるくらいなら、何故もっと早くに脱走を企てなかったの?。なにかワケありのようだけど……まあ、今の私には関係のないことね」
 魅羅は、古巣の仲間たちに提案を持ち掛けた。
「もしあなたたちが本気でPS軍を敵に回すつもりなら……どう?。アヤサキ=フリートの軍門に下る、というのは」
「か、勝手なことをッ!」
「悪い話じゃないと思うわ。まあ、よく考えてみることね?」
 望の怒声には取り合わず、魅羅はそう言い放った。
 その後、アヤサキ=フリートの名代である綾崎若菜から、正式な協力要請が届いた。


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 交戦中のお忙しいところお邪魔して申し訳ありません

 初めまして。わたくし、アヤサキ・フリートの綾崎若菜と申します。

 我々アヤサキ・フリートの部隊はこれから「ひびきの」隊を攻撃します。
 その時に「ときめき」隊の方々に是非とも共闘していただきたいのですが……

 私たちは「ときめき」隊の撤退を手助け致します。
 その代わりと言ってはなんですが「ひびきの」隊各機が私の機(GP02WAC)に直接攻撃をしてこないよう援護をしていただきたいのです。

 如何でしょうか?
 ただし「ひびきの」隊のR-3は私が直接攻撃致しますのでこれには手を出さないようお願いいたします。

 お礼と言ってはなんですが、「ひびきの」隊の追撃を振り切った後、些少ながら物資の補給もさしあげましょう。その後の「ときめき」隊の去就はあなた方の自由にしてくれてかまいません。できることであれば私たちの理想に賛同していただけると言うことであれば今後も私たちと共に戦って頂きたいとは思っているのですが...こればかりは無理強いはできませんからね。

 よい返事を待っております。では、ご機嫌よう……。

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「さあ、どうするのかしら?虹野さん」
 はっきりと困惑の表情を見せる沙希を嘲るように、魅羅。
「あなたがリーダーなんでしょ?。賢明な判断を期待するわ」
「……鏡さん」
「なあに?」
「こんな状況で久しぶりっていうのも変だけど、無事だったのね。ちょっと、安心しちゃった」
 沙希の顔は、屈託なく笑っていた。
「相変わらずね……虹野さん」
「あなたもね、鏡さん」
 沙希は、一度せきばらいをして、少しあらたまった口調で話し出した。
「ときめきのみんなを代表して、返事をさせてもらいます。私達は、今はPS軍に追われる立場になっているとは言え、決して反逆の意思はありません。それを証明するためにもアヤサキフリートとの戦闘を選択します」
「……」
「たとえ、全ての勢力を敵に回すことになっても、私達は、自分達の反逆の疑いを晴らすために戦います」
「私も同意見だよ。誰が、ゲリラの手助けなんかするかっ!」
「That‘s right! 私もよ!」
「優美、悪いヤツラの言うことなんて聞かないもん!」
 いきり立つ仲間たちをなだめながら、沙希は魅羅に告げた。
「鏡さん……もう一度、考えなおしてときめきに戻ってもらえないかな?私達、仲間だったはずなのに……」
 魅羅の顔から、笑みが消えた。
「あなた達、藤崎詩織が憎くないの?」
 突然、そんなことを言い出す。
「どうしようもなくお人好しな虹野さんはともかく。清川さん、片桐さん、好雄くん、如月さん。どうなの?。今あなた達が『ひびきの』と戦う羽目になっているのは、あの女のせいだとは思わないの?」
 そう語る魅羅の声に、いつもの高慢さはなかった。
「私は、憎いわ。藤崎詩織が」
「そ、そんな」
「だからこそ、私はときめきを離れた。脱走した藤崎詩織を、この手で倒すために。英雄としての栄光を捨て、PCE軍の残党にまで身を落した私の覚悟……尋常じゃなくてよ!!」
 沙希は、声を失った。
 かけるべき言葉が、見つからなかった。
「自分の古巣が滅びるのを見るのは忍びないからこそ、一度だけチャンスをあげたんだけど……」
 その声は、再び傲慢な余裕を取り戻していた。
「そういうことなら、ここで終わりにしてあげる」


第2話「Try Your Luck!」(3)


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